渡邉 博史 写真展「Observations」

今回のギャラリー冬青の写真展は私にとって日本で初めての写真展です。

ここに並べられた写真は、これと言って１つの題材を追ったものではありません。
日常生活の中で本やテレビや新聞で見聞きしたもので、非常に興味をそそられたものを、世界中のあちこち、実際にそこへ行って見て写真に収めることを繰り返 した結果としての写真が並べられています。そこに行ったからといって、実際は そこの特殊な地域性や文化に熟知している訳でも、強くこだわっている訳でもないので、後で選んでプリントとして出来上がったものは、私自身が気に入った 「写真」であり、そこでなくても撮れたかもしれない「写真」であることが殆どです。
私はどこでも写真を撮るときは、出来るだけ既成概念とか定説とか先入観 をあまり持たないようにして、初めて会った人に対するように、いつも正面から素直に見るようにしています。そのせいか、アメリカにもう３０年住んでいるか らか、見方がユニバーサルだとか言われることもありますが、これは逆に言えば、日本人とかアメリカ人とかいう国や民族からの一定した見方をしていないか ら、根のない個人的で勝手な見方でしかありません。
そういった意味で、ここにあるのはどこに居ても異邦人の私が見たベールの向こうの世界です。

Hiroshi Watanabe