渡邉 博史 写真集

「ダムの崩れる日」

渡邉 博史
Hiroshi WATANABE

2014年6月発行
4,800円+税
上製本/写真66点
サイズ  250x200x15mm

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大災害の映画。大火災とか、大地震とか、宇宙人の到来とかの大きな災厄をテーマにした映画は、たいてい冒頭部分で主人公のごく普通の日常生活を描くことから始まる。例えば、朝なかなか起きない子どもをむりやり起こし、朝食もとらずに学校へ走って出る子どもを見て頭を振る母親、そんなことにはわれ関せずと新聞に顔をうずめている父親。それは、どこでも見られる日常の風景だ。

このようなありきたりのシーンは、他の映画ならわざわざ見せることはないのだが、大災害の映画の場合は特別の意味をもってくる。観客は映画館に入るとき、これは災害映画だと知っているから、一見つまらない日常の風景の語りが、実は大災害の予兆であり、これから登場人物にとんでもない非日常的なことが起こることを予告していることを察知する。

ここで肝心なのは、映画の中の登場人物はそのことを知らず、観客だけがこれから彼らが大きな災害に巻き込まれるということを予知しているということだ。観客は言ってみれば、自分の運命を知らず、平然と平和な日常生活をおくっている人たちを雲の上から見ている予言者達のようだとも言える。

実は私たち誰もが、この映画の中の登場人物のように生きている。私たちは、いつかは災害や事件に出くわすことがあるかもしれないとは感じつつ、それが何かもいつかも分からずに一見、平穏に生活を続けている。しかし災害は、やって来る。その最も深刻な災害は、誰もがいつかは見舞われる死という災害だ。

われわれは、ダムの水は、溢れ出ようとするだけでなく、ダムそのものの崩壊につながることも知らず、その下でノホホンと生活をしている人間のようでもある。そのダムは、私たちのはるか頭上にあり、私たちは見ることができないが、その向こう側には、常に水が流れ込んでいて、その早さも、いまどのくらいたまっているかも、見えはしない。ただ漠然といつかは、その水は限界に達し、ダムが耐えきれなくなるほどの水量となって、やがて崩れ落ちるのではと感じている。

                                                                                           渡邉博史

       

「Love Point」

渡邉 博史
Hiroshi WATANABE

2010年1月発行
3,500円+税
上製本/写真21点
サイズ  267x260x9mm
*オリジナルプリント付き限定版

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「お嬢さん、すみません。」 と男が言った。「ちょっと助けてくれませんか。何年もこの町から離れていて帰ってきたばかりなのですが、住む所を探しています。この新聞には良さそうなも のは何もないので、どの方面が良いかだけでも教えてもらえませんか。」その男はお腹がすいたので、サイドウオークにテーブルがある古風なカフェを見つけて 簡単な昼食をとりながら新聞を見て探していたところだった。しかし、その男に合うようなところは全く見つからなかったので、ウェートレスに手を振って呼び つけてみたのだった。彼女のベストについている名札から名前は「ミツミ」だということが分った。

(著者あとがきより抜粋)

     
 
 
他社刊行物
 

「FINDINGS」

*オリジナルプリント付き限定版

 

 

「Veiled Observations and Reflections」

*オリジナルプリント付き限定版

 

    

「FACES Vol. 2 Kabuki Players」

*オリジナルプリント付き限定版


    

「I See Angels Every Day」

 

「パラダイス・イデオロギー」

   

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