100 年前、現代のコロナ禍のようにスペイン風邪の脅威が世界を覆っていたなか、ジャズ発 祥の地ニューオリンズの若者が世界の音楽を様変わりさせた。『ジャズの王様サッチモ』と 呼ばれるルイ・アームストロングだ。
スラムに生まれ 11 歳で銃を発砲、少年院に入りそこでコルネットと出会い才能を発揮。ジ ャズの街で黒人社会伝統の音楽に育てられ、独特の強烈なスウィング感とジャズ感覚を生 み出した。ルイ・アームストロングは、『ジャズエイジ』とも呼ばれたパンデミック後の 1920 年代、そして続く 30 年代 40 年代から現代にまで続くジャズの流れの基本を形作った。
1967 年、私達夫婦はサッチモのロマンの虜になりトランペットとバンジョーを片手に移民 船ぶらじる丸に乗船。憧れのニューオリンズに渡り 5 年間『サッチモとジャズの故郷』で ジャズ武者修行の生活を体験した。ニューオリンズに生き続けていた黒人社会の伝統、、、 ジャズ・フューネラル(葬式)、黒人教会、ジャズパレード、そして魅力に満ちたニューオ リンズの街!!それは、ジャズの王様サッチモと同世代、年上のジャズマンさえいた、ジャズ・パイオニア達の中で学ぶ毎日だった。
この『サッチモとジャズ』を生んだ街の貴重な風習や、スウィンギーな黒人社会を記録し なければ!!そんな気持ちから『サッチモの街』の写真を撮り始めた。
5 年間にわたったニューオリンズ生活、最初は父からもらったカメラ、KODAK レチナIIにト ライ X のフィルムを使用。当時現像、焼き付け、フィルム現像も独学で習得。後には Nikon Fのカメラと交換レンズを手に、ジャズの故郷での生活への感激、感動、ジャズの故郷へ のロマンと憧れをこめ、夢中で撮った写真は1万ショットを超えた。
『この素晴らしき世界』、『聖者の行進』、、、このジャズの街が生んだサッチモの音楽は、現 代はもちろん、100 年 500 年後の世界も愛され続けていくことだろう。そして嬉しいことに、 私達夫婦が半世紀以上前にとらえた『サッチモの故郷』の伝統とハートとスピリットは、 現在のニューオリンズの街にも立派に生き続けている。
外山喜雄 外山恵子 |