"demain 2017"
ギャラリー冬青での展示は2006年以来8度目となり、今回は写真集「demain」出版に合わせての展示です。
「da.gasita」(2012)「prana」(2014)「demain」(2017)はいずれもフィルムと印画紙の組み合わせで作られています。
完成されたプロセスゆえ、時間軸を超えた構成が可能です。「demain」ではその特徴を生かした作りになっています。
写真作品集「demain」後書きから
人は事故を経験したとき、時間の進み方に変化がおこると言われている。
そして死を感じた時、人生が走馬灯のように駆け巡るとも言う。
それは「これまでの記憶を高速で解析し、人生経験の中から生き延びるための方法を短時間の中に探っているのだ」
と友人の心理学者が教えてくれた。
脳が高速回転しているとき、相対的に時間はゆっくりと感じられる。
臨死体験をした何人かに話を聞くと、意外にも記憶は次々に、というわけではなく、押し寄せるように集合的によみ
がえり、それは順不同のとりとめのないことばかりだったと言っていた。
そしていずれも永遠とも言える時間を感じている。
おそらく自分が死の淵に思い浮かべるのも、どうでもいい日の出来事なのだろう。
時間も場所も、もしかしたら見たり聞いたりしたことで奥底に留まっていた他人や親の記憶までも古いアルバムでも
見るように思い返すのかもしれない。
渡部 さとる |