山下 恒夫 写真展「もうひとつの島の時間」

2009年6月2日(火)〜30日(火) 作家略歴     写真集

Gelatin silver prints, 11x14inches, edition of 30, with Tsuneo Yamashita's signature and edition notations

 
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 沖縄の島々を歩いているとそのあたりだけ空気の濃さが違うように感じるところにでくわすことがある。それはガジュマルの大木のそばであったり、海辺の大きな岩の前であったり森の中の何もない広場のようなところであったりするのだが、自ずと自然に対する畏怖の念を抱いて神聖な気持ちになる。

 沖縄では梅雨明けに南南西から吹く強い風を夏至南風(カーチベー)、夏が過ぎて北東から吹く風を新北風(ミーニシ)などと呼び風で季節の移り変わりを感じとる。

 旧暦六月に収穫を祝い豊作を祈願する豊年祭が八重山諸島では盛大に行われるのだが夏の強烈な日差しの下、鮮やかな衣装を身につけたまさしく現代の女子中学生のしなやかな手首の動きにみとれているうちに、いにしえの時代に迷い込んだ錯覚を起こしたこともしばしばだった。

 島には二つの時間、現代社会の時間と古来から脈々と流れる琉球の時間が流れており、時折それが交差することがあるように思えてならない。

山下恒夫


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