渡部 さとる 写真展「da・gasita - 43年目の米沢」

2006年2月1日(水)〜25日(土) 作家略歴     写真集

Gelatin silver prints, 8x10inches, edition free, with Satoru Watanabe's signature

       
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山形県米沢市。人口は10万人弱。
周りを山に囲まれた盆地で、夏は猛暑になり、冬の積雪は多い時で2メートルにもなる。
季節の移り変わりは、ある日突然やってくる。
雪どけとともに梅とこぶしと桜が一時に咲き、コタツをしまった翌日にはクーラーが必要になる。
短い夏はその分だけ鮮やかさを際立たせ、そして田んぼの稲刈りと同時に冬がやってくる。
さくらんぼと米と米沢牛が特産だ。
明治時代、日本を訪れたイギリスの女性探検家イザベラ・L・バードは、米沢を「桃源郷だ」と書き記している。

東京へ出てきて25年がたった。
毎年米沢には帰っていたが米沢を撮ることはなかった。
撮りたい気持ちはあるのだが、年々変わっていく町を見ていると「いまさら撮っても」という気持ちになってしまう。
数年前実家がなくなり「ただいま」とは帰れなくなった。
挨拶が「おじゃまします」に変わり、ますます米沢は離れていってしまった。

2003年、43歳になる直前に人生の転機となる出来事に見舞われた。
それをきっかけに米沢を撮る決心がついた。
撮っていて気が付いた。写真を撮るということは物事を見ることなのだと。
いままで気にしていなかった風景が撮る行為によって一気に立ち上がってきた。
変わった変わったと思い込んでいた米沢は、実は変わってはいなかった。
2004年春から始めた撮影は夏、秋、冬とめぐり、2年目が過ぎた。

今年も米沢は大雪だった。しかし辛い冬の後には、また劇的な春が米沢にやってくる。

カメラ:ローライフレックス2.8Eクセノタール80ミリ/キャノンEOS1,RT EF50ミリF1.4
フィルム:コダック トライX T-max400
印画紙:ベルゲールプレステージバリアブルNB

渡部さとる


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