土田 ヒロミ 写真集 |
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土田ヒロミは、「ニッポンとニッポン人」とはなにか?を追求してきた、日本の代表的写真家の一人である。1960年代終りから写真家として本格的な活動を 開始したが、目まぐるしい時代の変転の中で露出してくる「ニッポンとニッポン人」をテーマに作家活動をつづけてきた。ごく初期には、近代化をなしとげたと いわれる20世紀末のニッポンの底には、陰微に、あるいは、アッケラカンと土俗といわれる生態が沈殿していたことを演劇的な手法で記録している。この手法 は、作家の思惑を超えてドキュメンタリー・フォトの枠から逸脱し、コンセプチュアル・フォトへの接近をうかがわせた(写真集『俗神』1976年)。「ヒロ シマ」をテーマにしたのは、戦後という言葉すら若い世代にとって死語となりつつあるなかで、「被爆とはなにか?」を問い、被爆地広島(写真集『ヒロシ マ』、1985年)と被爆者のいま(写真集『ヒロシマ1945〜1979年』、1979年)を記録していったが、ヒロシマの映像が神話化の速度を早める一方で存在感は薄れ、かたやわれわれの記憶は時間による風化を必ずしも阻んでいたとはいえないなかった。土田は、それにあらがうかのように、今日のヒロシマ に基軸をおいて記録したのである。1960年代、ニッポンは、高度成長経済を迎え、80年代後半、大都市を中心にバブル経済を経験した。この社会的経済 的大変動は、ニッポンとニッポン人にどのような影響を刻したかは,21世紀の今日でも、社会科学的には的確な総括はされてはいないが、ニッポンとニッポン 人は、それまでのものとは大きく変わってしまったことはまぎれもない事実であった。土田は、この社会的経済的大変動のなかで、大衆を砂のような圧倒的大群 衆として、また、砂のようにバラバラな大衆として記録していった(『砂を数える』1990年)。「ニッポンとニッポン人」を追求してきた土田ヒロミは、時間のなかでさまざまな姿態を記録することによって、みずからの位置をつねに確認しているのである。 |
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「新・砂を数える」
土田 ヒロミ
Hiromi TSUCHIDA
2005年6月発行
7,800円+税
上製本/160頁
サイズ 298×300x20mm
*オリジナルプリント付き限定版
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写真家は、昭和天皇と美空ひばりの死という,昭和の象徴的人物が退場したときに現われた群衆の姿を見て,一つの時代の終りを実感し、1989年、「砂を数える」を完結した。
本 書は、その続編であるが、前著の出版とともに、バブル経済の崩壊という社会的変動に見舞われたニッポン人は、ここで新たな変質に遭遇したという感慨をもっ た写真家は、本書のあとがきで「一つのベクトルの方向へ動くことのなくなった群れ、互いに距離をとって群れる姿」ととらえた。群れの変質は、とき同じくし て進んだ写真界のデジタル化を受けて、カラー写真はデジタル処理されている。 |
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「増補改訂 俗神」
土田 ヒロミ
Hiromi TSUCHIDA
2004年5月発行
7,500円+税
上製本/写真115点
サイズ 299x297x23mmm
*オリジナルプリント付き限定版
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俗神とは、日常のなかの切れ目に露呈する大衆の俗なる心性のあらわれのことである。
土田ヒロミの「俗神」は、高度成長経済を経験したのちのニッポン人論であった。
豊かになったといわれるニッポン人の心性の深部に潜むアナーキーで猥雑な欲望をあられもなく露出して恥じることのない人びとを土田は,愛情を込めて「俗神」といったのである。
『増補改訂 俗神』は、旧版が絶版になっていること、しかも同書出版後20数年の今日、写真家の変貌の意味を写真家みずから再検討をこころみて出版されたものである。
20数年後の増補改訂によって『俗神』は再生され、投げかけられた問いは今日でも新鮮であり、21世紀に突き刺さっている。 |
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「ヒロシマ・モニュメントII」
土田 ヒロミ
Hiromi TSUCHIDA
1995年6月発行
3,689円+税
上製本/114頁
サイズ 267x262x15mm
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土田がヒロシマをテーマに据えたとき,写真家として何ができるかを問うたときのこたえの一つが本書である。
1945年8月6日の原爆による破壊から辛うじて生き延びた、橋、樹木、建築の一部などのモニュメントとしての定点観測としての記録である。
土田はすでに、1979〜83年にかけてこれらをモニュメントとして、風景とともに記録し、『ヒロシマ・モニュメント』として発表している。
さらにこのおよそ10年後の1989〜94年に記録し発表したのが本書である。
10年という時間のなかでヒロシマはどのような変質を迫られたのかの記録であった。
今後,10年間隔でモニュメントの撮影が行われることになっている。 |
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「砂を数える」
土田 ヒロミ
Hiromi TSUCHIDA
1990年2月発行
良本 50,000円(税別)
カバー汚れ有 6,500円(税別)
上製本/写真73点
サイズ 347x266x15mm
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1960年代の高度成長経済を経験したニッポン人は,地方から都市に集中し,大衆社会の表面に登場してくる。
それからおよそ10年後、ニッポン人はまぎれもない大衆となっていた。都市は,その性格上、毎日がハレのようである。
このハレの日には,埋め込まれたDNAのせいで、とにかく群れた。
この1975年からの10年間の圧倒的な群れを砂として記録したのが、『砂を数える』である。都市にあって群れるのは、都市共同体の一員であることを確認することでもあったのだ。 |
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