「緑羅」
出口 こずえ
Kozue DEGUCHI
2011年7月発行
3,500円+税
上製本/写真50点
サイズ 235x313x18mm
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私は、私の中に感じる音を撮り続けている。
それは、私だけが感じている音の無い音なのかもしれない。
その音は私の日常の中に佇んでいる。
私が撮影に出かける場所は
国道の脇。冬に花を咲かせる木の根元。田んぼのあぜ道。
忘れ去られてしまったような一画だ。
私の音を探し出し、垂直的に切り取っていく。
時間帯は朝早い時間。もしくは日没前。
ベールに包まれたような淡い光が緑を優しく照らす。
深い緑の薄絹から浮き立つように緑羅は現れる。
緑羅とは茂る緑。水面に映る緑の様をいう。
私が写しだす緑羅は、生命力・季節感といったものは関係なく
そのものの存在自体に意味がある。
ピンと張りつめた空気感であったり、凛とした力強さであったりする。
同じテーマのもとで、各々が完成した形で存在する。
作品は、それぞれが一つの音となり
並べることで波ーGROOVEーが生まれる。
そのささやかなざわめきが、私の緑羅という世界を作りだしている。
(著者あとがきより) |