「ニライ」
染谷 學
Manabu SOMEYA
2010年2月発行
3,000円+税
上製本/写真74点
サイズ 267×260×15mm
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沖縄を中心とした琉球の島々では、海の彼方にはニライカナイと呼ばれる、人間の住む世界とは別の世界があると信じられてきました。島の祭を見ると、このニライカナイからは幸福や豊穣をもたらす神が訪れると考えられていることがわかります。しかし、一方ではそこには悪しきものや災いをもたらすものが住むという伝承 もあるのです。複雑なようですが両者は矛盾する考えではありません。民俗学者で歌人でもあった折口信夫という人は、ニライカナイは死んだ人の魂が向かう場 所だということを書いていますが、わたしはこの考え方が好きです。わたしも海を眺めるとき、いつもそこに自分の魂の行く世界を幻視してしまうのです。
しかし、この写真集でわたしは、わたしたちの生きているこの世界そのものにニライカナイを見ようとしています。それはわたしたちの生はあまりに不確かであり、繰り返される日常のなかで、魂は常に海を渡り続けているからです。 (著者あとがきより抜粋) |