「記憶の再生」

中島 恵美子
Emiko NAKAJIMA

2012年10月発行
2,500円＋税
上製本／写真67点
サイズ  200×225×12mm

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記憶すること、記録する事は、現在目の前にある事象を過去の物にしてしまう印象があるが、実はそこで完結することを意味するのではなく、再生に臨む準備が始まる事を意味する。

撮影という行為もそれに似ている。
この写真集に掲載した写真はインド（2002年）、竹富島・石垣島（2008年）、北京（2009年）、台北（2011年および2012年）、釜山（2012年）で撮影した。
これらの都市にはアジアという共通項こそあれ、それぞれの都市がそれぞれの民族・文化的背景を持っていて、何一つ共通項は見出せないと言って良い。

しかし、それらは私が見たという共通項で、私の中で繋がっている。
写真には人の魂を奮わせ、心の底にある古い記憶を蘇らせる力がある。それを記憶の再生とするならば、私は写真という行為に身を置く事で記憶を再生する。

再現するのではなく、記憶を再生するのである。
再現、再び現すのではない。
再生、再び生きるのだ。

（著者あとがきより一部抜粋）