「INSOMNIA」

濱田 トモミ
Tomomi HAMADA

2015年4月下旬発行
3,000円＋税
上製本／写真50点
サイズ  215×260×15mm

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視続ける。離れても目前に存在する。理解するために再現をこころみる。解答を得ようと、私の頭と心は眠らない。
顕れたものは、意識外にある自己とよぶものだ。拘泥、疎外、後悔、そして希望を私は視る。窓に貼りつく雪。凍った路。視界を遮る雪山。突然、冬の映像が頭の中に浮かぶことがある。
そこに死のイメージを感じ、私は困惑する。直ぐに残像を振り払い、その意味を考えないようにした。雪を撮りはじめた。自宅まわりと窓という小さな範囲だけ。私は突然浮かぶ映像の意味を問いかける。すると、雪は現実から離れ、違う世界を私にみせてくれる。私は、直視する。10代、長い闘病生活を送っていた。北海道の厳しい冬は病状を悪化させ、窓から外をみて過ごすしかなかった。
そして、死に対する恐れを抱いていた。長い間忘れていたが、心の奥底に存在していたことに気がついた。しかし、次の瞬間にはそれを打消し、違う答えを探そうとした。
暗室では、ひとつの像がいく通りものプリントに変化していく。暗く深く沈む。あかるく穏やかに。激しく。そして、死への恐れと生きるよろこび。答えは、ひとつではない。写真を視るたび、あらたな何かがみいだされていく。私は眠らない。その何かを理解するために

（著者あとがきより）