この度の写真展では、『Photo Exhibition for Better』シリーズの第1回目を開催いたします。本シリーズでは、年に1度、写真の力を通して、「地球環境や社会に対して、今より少しでもよい影響を与えるきっかけ」になる写真展を開催する予定です。
特定のテーマにとらわれず、ギャラリー冬青としてその時々に大切だと思う国内外の社会課題を取り上げ、本シリーズの会期中、写真展売り上げから10%をその課題に関する活動へ寄付させていただきます。
なぜ、今なのか? なぜ、ロヒンギャなのか?
そう聞かれたら、「綿谷さんとの出会いが全てのはじまりだった。」と答える。
今の自分にできること。それは綿谷さんとの写真展を通して、ひとりでも多くの方々に「ロヒンギャ」について考えるきかっけをつくること、だった。
ギャラリー冬青 野口奈央
2019年に友人からロヒンギャのドキュメンタリー撮影に行かないかと誘われた。私はその時初めてロヒンギャという人々を知り、彼らの置かれる状況を知り、すぐに一緒に行くことを決めた。
正直、実際に会うまで彼らを遠い存在に感じ、どこか自分とは違う世界として感じてしまっていた。自分の目で彼らの生活をみなければと思った。
しかし、実際にバングラデシュのコックスバザール地域に位置するロヒンギャの人々が暮らす最大規模の難民キャンプの一つ「クトゥパロン難民キャンプ」や、インドやタイに暮らすロヒンギャの方々を取材させていただく中で、色々な葛藤があった。
今日も明日も帰る場所がある私と目の前で家族を虐殺された人、脚を切断された若者、いつまで続くのかわからない閉塞感の中で生きる人々…
「写真や映像を通して世の中へ伝える」という、自分では、大きな意義があると思っていたことが、小さく感じた。
そんな時、私たちを笑顔で歓迎し、「こうして日本からやってきてくれることで、どこかで誰かが私たちを思ってくれていることを知れた。それが私の明日を生きる希望になるんだよ。」と言ってくれる人もいた。
冒頭の友人に教えてもらった言葉が今も心に強く残っいる。
それは、「世の中にある問題は全員が解決に向けて努力すれば、そんなに大きな問題ではなくなるのではないか」ということ。
未だに何が正解か、分からない。
自分には何ができるのだろうか。
そう自分自身に問い続けている。
まずは、自分にできることをする。
今回の写真展で、私の写真がひとりでも多くの方々にとって、
「ロヒンギャ」を知るきっかけとなることを願う。
綿谷達人
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