この度は2020年から2022年の間に撮影し制作した写真を展示します。
昨年は私の初期の作品と呼べる中国の写真を展示いたしました。
今回は私がここ十年近く試みてきた色調、素材感、濃淡のグラデーションが異なる数種類の古 典印画を一緒にお見せすることにしました。
様々な印画法を用いるのは手段であり目的ではありません。写真の多様な可能性を知り、探求 してまいりました。
何を、どう撮って、どう見せるかを考えると、様々な印画法を試すのは自然な流れでした。
この度の展示は私が日本の全国を隅々まで歩いて出逢ったものたちと気配です。水滴になった 雪、物置に置かれた肖像画、サギの足跡、ショウウィンドウの少年、壊れたベッドのスプリン グ、早朝に体を温めるトンボ⋯
最近は今までに行ったことがないところを探して歩いています。ここに行ってこういうものを 撮りたいというのではなく、新しい風景が見せてくれる違和感や今まで気がつかなかったノイ ズを拾うというような感じです。今まで意図的に避けていたもの(名所旧跡、観光地)になるべ く行くことにしています。残念なのはコロナ一色の2年間でしたので、マスクの人の写真はほと んど撮れませんでしたが、写っているものの裏に生き物の営みを感じて頂ければと思います。
竹谷 出
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