亀山 仁 写真展
「日常のミャンマー2」

2022年3月4日(金)〜26日(土) 作家略歴    写真集 作家HP


銀塩プリント 27点
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2021年2月1日のミャンマー軍によるクーデターから約1年。
ミャンマーの人たちは軍の非道に抗議を続けている。
ミャンマーの人々は仏教徒で信心深い人が多いが、現地からは言葉を失う情報が伝わって来る。
ミャンマーに通い始めて約16年になり、現状を伝える事が自分の役割と考えミャンマーの人たちと共に自分に出来ることで応援を続けている。

昨年4月に写真展「日常のミャンマー」を開催し1年が経とうとしているが事態が解決する見通しは困難だ。それどころか軍の弾圧の異常と思えるほどエスカレートしている。
ミャンマーの人たちは当初、非暴力で゙軍に抵抗活動を続けていたが7月になるとデルタ株のコロナ感染が急速に広がりはじめた。元々充分とは言い難い医療体制に加え、軍が医療資源を独占したため、酸素や薬を求める市民の行列が街にあふれ、数日後からその行列は火葬場へ広がり、SNSには悲しい有様が多く流れていた。

コロナ感染がピークを越えた9月上旬、2020年の選挙で選ばれ軍の拘束を免れたNLD(アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟)議員たちが立ち上げたNUG(National Unity Goverment; 国民統一政府)が軍に対する抵抗活動を宣言し、それ以降、軍と内戦を断続的に続けてきた少数民族軍とPDF(Peolpe’s Defence Force;国民防衛軍)と呼ばれる人たちが協力し軍と衝突が全国に広がっている。

このころから軍は空爆や街を焼き払うなど以前にも増して残虐性の高い人権を無視した弾圧を少数民族が暮らす地域を中心に続け国内外に避難民が増え続けている。国連やASEANが事態の収拾をはかる声明を出しても軍は聞く耳を持たず弾圧を続けている。
国際世論には市民が武器を持ち戦うことに批判の声もあるが、ミャンマー人たちは自分たちのことは自分たちで守る選択をせざるを得ない状況に追い込まれている。

昨年末、ミャンマーの友人がコロナ感染で亡くなったとメッセージが届いた。
ミャンマーのインレー湖で仏像職人をしていた友人だった。2007年1月に知り合い、彼のファミリーとはインレー湖へ行く度に会い撮影と交流を続けてきた。彼は2013年ごろに軽い脳梗塞を発症したがリハビリを続け日常生活を送れるまで快復していた。それがコロナに感染し亡くなったと知ったとき、クーデターが起き無ければ、医療が機能していれば助かったのかもしれないだろうと彼の冥福を祈るより先に強い憤りを覚えた。
私にできることはクーデター以降、ミャンマーの現状を本来の穏やかな人たちが平和に暮らすミャンマーの姿を写真を通して伝え、世論が関心を持ち続けミャンマーの人たち救う一助になることと考えている。今回の展示では私が初めてミャンマーを訪れた軍事政権下だった2005年から、途中2011年の民政移管を経て急速な経済成長を続け、最後に訪れたコロナ禍直前の2020年の3月までミャンマーと関わり見て感じてきたことを伝えたい。
今、ミャンマーに入れないことを鑑みて、この度の写真展では「インパール作戦の舞台になったチン州や激戦地メティラの写真」が一部入っているが、「インレー湖、最大都市ヤンゴン」から観えてくる、ミャンマーの日常の人々、暮らし振りをと想い熟慮しこの度の写真展を構成させて戴いた。



 




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