溝口 剛 写真展 2021年8月6日(土)〜28日(土) 作家略歴 |
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ゼラチンシルバープリント
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かつて、中世の鎌倉に出入りするための7つの道(切通)があった。 戦国の世に入り、頑丈な石垣を有する城が諸国に築かれた。巨石が集まり、組み上げられた。戦に敗れた城の城壁は崩され、さらに頑強な築城を目指し、新たな主人のもとへと集積した。石材が不足すれば、石仏、墓石、五輪塔まで持ち去られ、使われたという。築城石の離散集合である。 1860年代、横浜に外国人墓地が整備された。海外諸国からの先人達の努力と成果なしに、日本の近代化はなかったと考えられる。横浜には4つの外国人墓地がある。東京都営霊園の4つの広大な敷地の一部に、外国人墓地区画がある。多様な文化、知識、技術を受け容れてきた歴史の積み重ねがそこにある。国内外の諸地域の天然石と人工石が、組み重なり、墓石に使われ、多くの文字が刻まれた。永年の風雨や自然災害により、傷んだ墓碑墓標も少なくない。墓地が現在の形態に至る過程で、区画整理や墓石の移動、更新がなされた。ここでも石の離散集合が繰り返された。 一枚一枚のモノクロフィルムに、4つの横浜外国人墓地、4つの都営霊園、4つの切通のイメージをそれぞれ重ねた。事物や歴史集積のイメージを多次元で多層化した。 複雑なパターンの中で、個々の眼に映るものは何か。慕い敬う対象を失い、祈り祷る他者の姿か。墓石を前に拝み、故人を悼み尊み懐かしむ自身の姿か。 溝口剛 |
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