ニコラス・ヘンリ
NICOLAS HENRI写真展

ヴォンコンプレックス
Wohnkomplex 11

2019年8月2日(金) -2019年8月24日(土)


作家略歴


ラムダプリント

 


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−展示案内−

「ヴォンコンプレックス11」は、旧社会主義国東ドイツ領横断のロードトリップをしながら制作された。
東側では統合後、より良い生活への希望を胸に人々が西側に移住したため、沢山の町や村が放棄された。
今でも多くのビルや工場、中には都市の一部分全体さえもが、かつて建設され、住まわれ、仕事場となっていた当時の姿のまま残されている。
 その典型的な例が、工場労働者全員を住まわせる目的で第二次世界大戦後に建設されたアイゼンヒュッテンシュタットという名の団地である。長い時間をかけ自然に開発が進んだわけではないため、この団地のデザインは非常に人工的である。
 都市は一連の区域に建設され、ヴォンコンプレックス(住居用団地)と名付けられ、建設された順に番号が付けられている。最後に建設されたもの(ヴォンコンプレックス7)の建設年は1980年代であり、この建物は最初に放棄された。建物部分は現存せず、残っているのは駐車場、街灯、設備のその他の部分のみである。私が捉えたかったのは、この団地や他の旧東ドイツ圏にある、捨て去られ、忘れ去られた場所の不気味かつ廃墟的雰囲気である。
 撮影は2011年。(タイトルの11という番号は撮影年に由来する。)カメラはフォクトレンダーBessa III 667レンジファインダー、フィルムはフジの120ミディアムフォーマットを使用。プリントは日本での展示用にラムダプリントを採用した。

 今回同時に展示する「キャビネッツ・オブ・ワンダー」という小シリーズは、祖父母の家の屋根裏や倉で長年開けられることなく、触れられずにあった蓋付きの箱やキャビネット、箪笥などを発見した時のフィーリングにインスピレーションを得て制作した。
 これらの箱たちは、開けられるまでとてつもなく神秘的な存在であり、一旦開けられれば時に大きな驚きやタイトルにも示唆した”wonder”(不思議さ、驚嘆)というべきものをもたらすかもしれない。
撮影年は2013年。カメラはキャノン、デジタルSLR 、プリントは日本での本写真展用にラムダプリントを採用した。
                                      ニコラス・ヘンリ


 


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