浅間山南麓に山居して以来、森に生起する由無し事を綴ってみた。それは結果として、写真やメモのようなものであったり、デッサンやオブジェの形になったりする。その造形のもとを尋ねると、多くは森の中の様々な事件性を伴った異物感や、非可視のシステムというのが横たわっている気がする。 森を構成する万象のたたずまいに耳目を集中すると,私も森の一部に溶け込んでいく感慨に襲われる。
技法的には、ポラロイド写真、サイアノプリント、ヴァンダイクプリント、ドローイング、エッティングプレートなどの小片がコラージュされている折帖のしつらえや、フォトグラムによる葉の肖像、金属によるオブジェなどが並ぶ。
ひたすらの“而今”をもとめて・・・。 田中孝道