一日中歩きまわり、疲れと空腹で意識が薄らいでいくころ、
そんなときでもシャッターさえ押せば、目の前の世界は変わらずフイルムに記録される。
疲労で自我を失いかけたときの写真など、写真家という存在からすると、
価値を見出せないという考えもあるだろう。
しかし「思うように写真を作ってやろう」と考える余裕さえない瞬間、
日々の積み重ねによって、僅かに身体化されることになった自分の本質が、
やっと顔をみせるのも、また事実なのではないだろうか。
いつも写真のことを考えてはいるが、じつはすべての思惑をそぎ落としたときに、
写真と私はどのように繋がっているのか、そろそろ知りたいと思っている。

加納 満