弓田 純大 写真展 第一部「扉」

2009年9月1日(火)〜12日(土) 作家略歴 オリジナルプリント

Lambda prints, 1800x900mm, edition of 5, with Sumio Yumita's signature and edition notations

       
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第一部 『扉』

数年前から滝に目覚め、ことあるご とに心惹かれる滝を探しては撮り歩いた。
「なぜ滝なのか?」とよく訊かれるが、その理由を聞きたいのはむしろ私の方で、「なぜ滝 に惹かれているのか?」という自身に向けられた問いの答を、探すために撮影を続けていた感がある。
いったい滝のどこに魅力を感じ ているのだろう。
以 前からテーマに縛られた制作は苦手で、予め「こういうシリーズを撮ろう」と決めて臨んだことはなかった。心惹かれるままに好きなものだけを撮影していく中 で、徐々に浮かび上がってくるものが自分の求める本質的なテーマだと思っている。今回はその中で「滝」が浮上してきた。
撮影を進 めながら、写真は滝というモチーフが放つ「さまざまな象徴性」を伝達する手段としては、極めて有効なメディアであると実感した。写真は、実際の光景を紙の 上に「置き換える」過程で多くのものを失うが、逆に作家の感じた印象を際立たせることができるからである。
し かし、滝の内包する意味の多様性を、一言で言い表すのは難しい。言葉を重ねて表そうとすればするほど、どんどん視覚から得られた意味からは遠くなってしま う。幾多の紆余曲折を経て、展覧会のタイトルは「扉」というシンプルな言葉に落ち着いた。「扉」という一文字が、私が感じたたくさんの滝の象徴を入れる器 になってくれていると思う。
写真もまた「こちら側とあちら側を有する扉」だという見方ができる。
「写真 に撮られた滝」というのは、入れ子構造になっている「扉」だと思った。

弓田 純大


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