前田 亜紀 写真展「La lune rousse - 赤い月

2009年5月1日(金)〜30日(土) 作家略歴

C prints, 11x14inches, edition of 20, with Aki Maeda's signature and edition notations

 
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フランス太陰暦の月のひとつの呼称。
復活祭の月の翌月、四月から五月の間に出る赤い月は
晩霜で植物を赤く枯れさせるという。

私はこの赤い月の存在を知った時、体の奥底に眠っていた
ある感覚を思い出した。
それは私の思春期の、ある時期だけにみた夢。
何もない空間に飲み込まれ、呼吸が出来なくなっていく。
まるで赤い月に照らされた植物のように。

その夢は、何故その時期だけに見えたのか?
その頃は、見えない何かに怯えてた。
それは一体何だったのか?

今はもう見ることの出来ないその夢と
長い間眠っていたその答え。
視線を合わせ、何かに飲み込まれていく感覚に捕われたとき。
何かに見られていると感じたとき。
空間という生物に出会った瞬間・・・。

この見つめている先、この空間の中に、
ある時期の自分自身が存在していることに気がついた。
自分自身の存在を知りたいと思っていたあの頃の・・・自分が。

前田亜紀


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