萩原 義弘 写真展「SNOWY」

2008年2月1日(金)〜29日(金) 作家略歴     写真集

Gelatin silver prints, 11x14inches, edition free, with Yoshihiro Hagiwara's signature

       
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「SNOWY」を見て、「なぜ雪の廃鉱なのか」とよく訊かれる。
初めて訪れた炭鉱が北海道の夕張で、そこは豪雪地帯だった。
そして、その時の印象が自分の脳裏に深く残っていたからだろう。
何年か後、下北半島で撮影をしていて、急に地吹雪にあい、廃工場に逃げ込んだことがある。
その廃工場はまるで冷凍庫状態で、自然に生えた植物までも凍てついていた。
その時見た光景が、なんとも美しく、氷点下の気温の中で、夢中で写真を撮っていた。
後に、その廃工場を調べてみたら、戦前の砂鉄の精錬工場跡だったことが解った。

主に北海道の炭鉱や東北地方の鉱山ではm冬はたいへん厳しい気象条件のもとで人々は生活を営み、石炭や貴重な鉱物資源を採掘していた。
その後、炭鉱や鉱山は閉山が続き、住居や施設跡は深い雪に埋もれ、近づくのに困難なところとなった。そして、冬場は誰も足を踏み入れなかった。
人々が去り、静まり返った建物内に雪は容赦なく入り込んでいた。
しかし、そこには美しい造形美が作り出されていた。そして、気がつけば人工物と自然とのせめぎあいの中で生まれた風景の虜になっている自分が立っていた。
冬の撮影が中心となり、10年以上になる。
冬の撮影は危険と隣り合わせであるが、人工物と自然とのせめぎあいの風景は、その時しか見られず、また同じものを二度と見る事ができない。
なんとか写真集として出版し、写真展を開催することになったが、まだしばらく雪の行脚は続きそうである。

萩原義弘


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