大西 みつぐ 写真展「WONDERLAND BEGINNING 1967〜1972」

2006年11月1日(水)〜29日(水) 作家略歴

 
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昔の写真に特別こだわっているわけではない。大作家のように写真美術館で回顧展をするほどの作品を残してきてもいない。
はっきり言えば、「突破口」をここか ら見いだせないかという気持ちがある。

写真をはじめた頃、自分の生まれた町(東京深川のドヤ街)では恥ずかしくてカメラを構えられないもどかしさを覚えつつ、浅草に自然と吸い寄せられた。その ドロ臭さはわが町とはほとんど変わらなかったし、少年が「身体」をドキドキさせながら歩く界隈として、当時の浅草はまだまだ十分に猥雑な町であったのだ。
コンポラが流行った時期には生意気にも21mmレンズなどを使いスナップをしている。そのいくらか前の時代では、安価なカメラで堂々と人に対面している。それもこれもずいぶんと早熟な写真少年だったように思う。

「原点」などと格好をつけていうつもりはない。写真作業としては、常に今という時間と空間に濃密に関わっていたい。しかし、この70年代前後の町空間への興味と愛情を、今一度高めさせ てみたい。

90年代からたまにしか撮らなくなってしまったモノクロームのWONDERLANDシリーズが袋小路に入ってしまったという事情がそこにある。
下町の大きな変容、モノクローム神話といった問題に直面したのは私だけではないのだが、
あらためて町を巡り、ぶきっちょにシャッターを押してみることの誠実さをここ(1967〜1972)で確かめてみることで、ひょっとしたら次のWONDERLANDがはっきり形としてまとめられるのではないかと思うのだ。

大西みつぐ


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