米谷 昌子 写真展「ごくらくうお」

2006年5月9日(火)〜31日(水)

 
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海べりの町へぶらりと撮影旅行に出掛けた時、雨に降られたり、お腹をこわしたり、
風が強くて花粉飛散量が多すぎる日なんかには、その町の水族館や博物館でぼんやりと時間をつぶす時がある。

辺鄙な町の水族館は、なぜか引き戸を手でがらがらrと開けて入るのだった。
まるで額装の絵のように小さいガラス製の水槽は、海水がにじんで生臭い。
水槽の中には、水槽生物におよそ関係のない装飾が施されている。しかも生き物たちより目立っていたりするのだ。
ニス塗りの剥製の陳列。ホルマリン漬けの色褪せた魚。
なんだかはやりの大水槽自慢の都市型水族館とはまるで異質な世界が展開されているではないか。

人が作った海底世界の滑稽さと悪趣味さ。飼育係から長々と聞かされる笑い話のような苦労話。
うす暗い室内で浮き上がる魚たち。水のあぶく。ひんやりしたガラス水槽の密閉感。
水槽生物たちのうにょうにょ感。このむずむずうずうずする感覚!

知らず知らず、この妖しげな海底世界へと沈んでゆくわたしだった。

米谷昌子


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